堕落した生活とマイナスマインド

こんな時代にブログ始めました。

ファスナー

 Mr.Childrenに『ファスナー』という曲があるのを知っているだろうか。いつか呟いたこともあったが、私はミスチルのなかでこの曲が一番好きだ。

 「隠された自分の二面性」のことを表現した曲は山ほどあるだろうが、それを「ファスナー」と称したところがこの曲の素晴らしい部分だ。それは鍵のかかった箱の中に閉じ込めておこうとしても、それこそファスナーが開いたり閉まったりするように、その人の言動の中に現れてしまう。

 この曲を初めて聞いたとき、確か小学生だったが、本当の意味で初めてウルトラマンの背中にファスナーがあることを知ってしまった。そして私の大切な人や、自分の背中にもファスナーがあることを知った。

 鏡の前に立って対峙する自分と、誰かと対峙している自分の姿は一緒だろうか。そこには私だけが知ってる私がいて、反対に、あなただけにしか見えない私もいるのだろう。それが自分には見えないものであればあるほど、どうしても、相手にどう思われているか考えることを辞めることができない。そしてそう思うほどに、纏う着ぐるみがどんどん重く、分厚いものになってしまう。そうしていつしか自分の背中にあるファスナーに手が届かなくなる。もはやそれは分厚い皮膚で、脱ぐことはできない。「本当の自分」なんてものは空想で、もしかしたら存在しないのかもしれない。でもそれってあまりにも、寂しすぎるなと、思う。

 自分がどんな人なのか忘れないように持っておきたい。いいところも悪いところもあって当たり前だと、過ちを許したい。傲慢なところも、目をふさがずに見ておきたい。他人からの評価だけが私のすべてではないと信じたい。いつか私のファスナーの内側を、受け入れてくれるあなたに出会いたい。そして許されるなら、あなたのファスナーの内側をのぞかせてほしい。

 惜しみない敬意と愛を込めてファスナーを。